介護福祉支援ボランティア・マニュアル(抜粋)
〜災害現場における要援護者の自立支援と介護予防を目指して〜

目 次
(タイトルをクリックするとジャンプします)
T はじめに 日本介護福祉士会 会長 石橋 真二 ・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第1章 被災地における介護福祉支援ボランティアの活動・・・・・・・・・・・・・・・ 4
1.阪神・淡路大震災の活動
2.中越地震の活動
3.中越地震の活動
4.中越沖地震の活動
5.能登半島及び中越沖地震の活動
第2章 マニュアル策定のきっかけ ・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2.厚生労働省 社会福祉推進事業の助成を受けて
V 日本介護福祉士会「生活7領域」から見た被災者の状況
第1章 被災地における生活7領域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
第2章 中越沖地震の被災者における生活7領域の実態・・・・・・・・ 23
2.食
3.住
4.からだ
6.家族との関係
7.社会との関係
第3章 災害時の生活7領域のアセスメントシートの開発 ・・・・・・・・・・・・ 61
W 介護福祉支援ボランティア活動開始のための環境整備 ・・・・・・・・・・・・・・ 62
1.中越沖地震介護福祉支援ボランティアの事務局をつとめて
X 介護福祉支援ボランティアの実態及び意識調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
Y 介護福祉支援ボランティアが今後めざすもの ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
Z 公開シンポジウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
[ 基礎資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
1.活動記録用紙
2.委員会活動経過報告
3.策定メンバー
\ 各支部連絡先 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 125
] 日本介護福祉士会倫理綱領 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 128
Ⅺ 社団法人日本介護福祉士会 災害救援活動マニュアル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129
Ⅻ 他の災害支援活動紹介:空飛ぶ車椅子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137
社団法人日本介護福祉士会は、「介護福祉士」国家資格取得者の専門職の団体です。平成6(1994)年の2月に設立、平成12(2000)年に社団法人化を果たしました。平時から、高齢化社会を支える介護の専門職として、高齢者・障がい者の介護施設・病院・在宅介護サービス事業に従事しています。
社団法人日本介護福祉士会では、平成7(1995)年の阪神・淡路大震災の被災地における活動を契機に、災害救援ボランティアの派遣を始めました。平成16(2004)年新潟県中越地震、平成19(2007)年中越沖地震の活動を経て「より専門性の高い災害救援とは何か」を考えるようになりました。
本年度、日本介護福祉士会では、「介護福祉士の専門性を生かした被災者対応マニュアル作成事業(厚生労働省 社会福祉推進事業 国庫補助)」として、「災害時における介護福祉支援ボランティア・マニュアル」の策定に取り組む事となりました。検討会の中では「災害現場における要援護者の自立支援と介護予防」を目標に掲げ検討が進められました。そこで明らかになったのは、平時から活用している、日本介護福祉士会方式である「生活7領域」の視点が災害現場でも有効であるということでした。本マニュアルでは、この視点を活用し、災害現場で効果的に介護福祉支援が展開できるように「災害時の生活7領域アセスメントシート」を開発し、本マニュアルの中で提案しています。
本マニュアルが、災害時における介護福祉の領域ならびに災害対応の現場で積極的に活用され、今後の災害支援の一助となることを願っております。
![]() |
社団法人日本介護福祉士会の災害時介護福祉支援ボランティアの活動は、阪神・淡路大震災での活動がきっかけです。平成6年会設立の翌年勃発した震災により被災した高齢者や障がい者の生活状況がニュースで伝えられ、全国から介護福祉ボランティアが現地に駆けつけました。当時は、日本介護福祉士会もまだ発足したばかりで、その活動は決して大規模なものとは言えませんでしたが、そこからの活動の積み重ねの中で、介護専門職としての災害時介護技術・自立に向けた介護技術の構築の必要性の声が高まってまいりました。
ここでは、これまでの社団法人日本介護福祉士会のボランティア活動の歩みをふりかえります。
第1章 被災地における介護福祉支援ボランティアの活動
--《省略》--
第2章 マニュアル策定のきっかけ
![]() |
介護福祉士としての介護福祉支援活動
介護福祉士は昭和62年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の成立により、平成元年に誕生しました。その後、現任研修や様々な研修活動の中から資格職としての自覚が芽生え、相互連携の必要性から、平成6年2月任意団体として専門職団体「日本介護福祉士会」を設立しました。その翌年、阪神・淡路大震災が勃発しました。
日本介護福祉士会では、災害時要援護者、特に高齢者施設が避難所となっている施設への支援活動を中心に介護ボランティア活動を展開しました。実際に日本介護福祉士会として派遣したボランティアの数は団体派遣というにはけっして多い数字とは言うことのできない状況でしたが、このとき災害時の介護ボランティア活動の基盤ができました。
その後、中越地震、中越沖地震への会員の介護福祉支援ボランティアの派遣は、介護福祉専門職としての活動のありかたを問いかける結果となりました。
中越地震では避難所生活により機能低下が進むことや自家用車での避難生活がエコノミー症候群の発症を招き、それが原因の死亡が頻発したことが注目され、介護予防を行うことの必要性が指摘されました。これまで、被災者のために何かお手伝いできればという一般的なボランティア活動意識から、専門職としての倫理と専門性を兼ね備えた支援が求められました。
マニュアル策定へ
特に、避難所という特殊な環境における長期の生活支援は、生活の復旧・復興を視野にいれてなされるべきであり、介護福祉支援は被災者のニーズに沿って行われるべきものです。また、災害時であればこのような支援が必要となるという予測と、被災者一人ひとりの個別性を視野にいれて活動することも求められます。そのような状況において、災害時の活動が適切に行われるための一つの手段としてマニュアル策定に着手いたしました。
実際のマニュアル策定によって期待される効果としては、会員が何らかの災害時介護福祉支援活動を行うときの心の準備ができること、そのことによって活動への一歩が踏み出しやすいことをあげることができます。災害時においての介護を経験することで、ボランティア参加者は介護の視野が広くなり考え方も深くなったという経験をしました。
震災による被災地は全体的に被害を受けていますが、一人ひとりを見ればその被災状況に格差が存在します。家屋の損壊状況や家族構成により家に帰ることができない、また、被災のショックから認知症の症状を呈し、夜間落ち着かなくなった人等、このように災害時における介護は個別援助の視点が不可欠です。
また、介護福祉士の専門領域である生活7領域は災害時においても不変の課題であり、基本的な介護技術は活用することができます。しかし、災害という、環境の大きな変動の中での生活支援は、災害時に特化した効果的な支援方法の体系化が必要となります。本マニュアルは、これまでの経験から得られた知見をまとめ、介護福祉士としての日々の備えとすることや被災者支援の実践において活用できるものを目指しました。
また、現在介護分野から離れている介護福祉士が、災害介護という新たな視点から介護を考えことによって、介護を考える上での視野が広がり、かけがえのない仕事であるとの自己の価値を高めることができ、介護の現場に戻ってくるきっかけとなればという策定委員の願いも込められています。