令和8年7月23日。今村会長が第261回社会保障審議会介護給付費分科会に出席しました
今回の介護給付費分科会では、令和9年度介護報酬改定に向け、人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築についての意見交換等がおこなわれました。
今村会長は、中山間・人口減少地域において介護サービスを持続的に提供していくためには、地域の実情を踏まえた制度の見直しは重要な課題であり、配置基準の弾力化や包括的な評価について検討が進められていることは理解している。一方で、こうした制度改革は、利用者の安全と介護サービスの質を確保するとともに、介護職員が専門性を十分に発揮しながら安心して働き続けられる環境整備と一体的に進められるべきであり、制度改革の成果が地域における介護サービスの持続可能性と介護職員の専門性の向上の双方につながる制度設計となることが重要である。さらに、制度は導入時だけでなく、運用状況を継続的に検証し、介護福祉士等をはじめとする介護現場の職員の意見を丁寧に反映しながら必要な見直しを行う仕組みを併せて構築していくことが求められる。としたうえで、以下の各論点について意見を述べました。
○配置基準の弾力化
中山間・人口減少地域における介護サービスの提供体制を維持・確保することは喫緊の課題であり、地域の実情に応じて配置基準を弾力的に運用する方向性については理解できる。一方で、配置基準の弾力化は、人員不足への対症療法として進めるのではなく、利用者の安全とケアの質を確保するとともに、介護職員が専門性を十分に発揮しながら安心して働き続けられる環境整備と一体的に進められるべきである。この基本的な考え方を制度設計上も明確に位置付けていただきたい。この観点から、特に次の点について十分な検討をお願いしたい。
・夜勤要件の緩和については慎重な対応が必要である。夜間帯は緊急対応の負担が最も大きい時間帯であり、付帯決議においても「テクノロジーの活用による生産性の向上は一定の効果が認められるが、介護職員に代替するものではない」とされていることから、緩和後における緊急時の対応体制や安全確保策について、具体的な考え方を示すべきである
・管理者や専門職の兼務を拡大する場合には、既存の基準該当サービスにおいても兼務による業務負担の増大が課題として指摘されていることを踏まえ、業務量の実態を継続的に把握するとともに、ICT・テクノロジーの活用や業務改善に対する財政的支援を併せて講じる必要がある
・配置基準の緩和後においても専門性が適切に確保されるよう、中核となる介護福祉士等の配置や有資格者の配置割合など、一定の質を担保する仕組みについても制度上明確化すべきである。専門性を有する介護職員の配置が十分に確保されないことにより、利用者の安全やケアの質が損なわれることがあってはならない
・緩和措置については対象や要件を明確にするとともに、保険者等によるモニタリングや定期的な検証・見直しを制度上位置付け、なし崩し的な拡大を防ぐ仕組みを構築すべきである。また、令和6年度介護報酬改定に関する審議報告においても「十分に現場職員の意見が反映されたものであったか確認すべき」とされていることから、制度設計及び制度運用の検証に当たっては、介護福祉士等をはじめとする介護現場の職員の意見を継続的に反映する仕組みについても検討いただきたい。
○包括的な評価の仕組み
突然のキャンセルや移動負担、季節変動による経営の不安定さが、中山間・人口減少地域における訪問系サービスの持続可能性を脅かしているとの課題認識は現場の実感とも一致しており、経営の予見性を高める包括的な評価の方向性については理解できる。一方で、包括的な評価は、利用者の安全と必要なサービスが継続して提供されることを前提として、介護職員が専門性を発揮しながら安心して働き続けられる環境づくりにつながる制度として設計されることが重要である。この観点から、制度設計に当たっては次の点について配慮いただきたい。
・付帯決議にも示されているとおり、定額報酬には「利用が少ないほど事業者の収益が増す」という構造が内在している。このため、必要なサービス提供の抑制や利用調整につながることがないよう、利用実績等を踏まえた複数段階の報酬区分を設けるなど、実態に応じたきめ細かな制度設計を行うべきである
・中山間・離島地域では移動時間の割合が都市部より高いとの調査結果が示されているとおり、移動負担は介護職員の身体的・精神的負担に直結する要素である。経営の安定化だけでなく、その負担に見合った処遇改善や常勤雇用の促進につながる仕組みについても、報酬設計に反映すべきである
・包括的な評価によって得られる経営上の効果については、事業所経営の安定化に加え、介護職員の処遇改善、人材育成及び専門性の向上にも適切に還元される仕組みについて検討すべきである。制度改革の成果が現場で働く職員に還元されることが、利用者への支援の質の向上と人材の確保・定着にもつながるものである
・各種加算の包括化による事務負担軽減の方向性には賛成であるが、簡素化を理由として利用者の状態変化の把握やケアマネジャー等との連携記録が十分でなくなることがあってはならない。ICT等を活用しながら、必要な情報共有や記録の質を確保できる仕組みと一体的に導入すべきである
・制度導入後も、保険者やケアマネジャー等による外部確認に加え、実際にサービスを提供する介護福祉士等の現場職員からも定期的に意見を聴取し、制度運用上の課題や改善点を継続的に把握・検証できる仕組みを設けることが重要である。こうした継続的な検証を通じて制度の実効性を高め、利用者本位のサービスの確保と介護サービスの持続可能性の両立につなげていくべきである