令和8年9月3日。今村会長が第264回社会保障審議会介護給付費分科会に出席しました
今回の介護給付費分科会では、令和9年度介護報酬改定に向け、「認知症への対応力強化」「医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護」「科学的介護情報システム(LIFE)」「口腔・栄養、一体的取組」「多床室の室料負担」についての意見交換等がおこなわれました。
今村会長は、各テーマについて以下のとおり発言しました。
〇認知症への対応力強化
・認知症ケアは、BPSDなどの症状への対応にとどまらず、本人の意思や価値観、これまでの生活を尊重し、その人らしい生活を支えることが重要である。介護福祉士は、日々の生活の中で本人と継続的に関わり、本人の「できること」や「やりたいこと」、あるいは言葉にならない思いを捉える立場にある。その意味で、認知症の方の意思決定を支え、日常生活や社会参加につなげていく上で、介護福祉士の専門性をより明確に位置付けることが重要である。こうした支援を個々の職員だけに委ねるのではなく、情報を共有し、チームとして認知症ケアに取り組むことも重要であり、認知症チームケア推進加算については、この取組をより多くの現場に広げるために何が必要なのかを検討いただきたい
・また、認知症の方への支援は、現在この加算の対象となっているサービスだけで行われているものではない。それぞれのサービスの機能や人員体制には十分配慮しつつ、チームで認知症の方を支えるという考え方や、その取組への評価を、他のサービスにも展開できないか検討いただきたい
・一方で、資料では、人手不足や研修受講の難しさなどが、加算算定の障壁となっていることも示されている。研修については、国の研修だけでなく、関係団体による研修もあり、また、介護福祉士の養成課程等ですでに学習している内容との重複も考えられる。したがって、個々の研修を所与のものとするのではなく、認知症ケアに必要な知識・技能を整理した上で、それをどの研修や学習で担保するのか、既習内容や重複も含め、研修体系全体を整理することを検討いただきたい
・併せて、介護事業所が蓄積している認知症ケアの専門性を、本人・家族への支援や地域の関係者との連携などを通じて、地域にも還元していく視点が重要だと考える
〇医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護
・今後、生活の場で看取りを行う機会が増える中では、医療と介護がそれぞれの専門性を持ちながら、本人の生活を中心に連携することが重要である。協力医療機関との連携についても、単に医療機関を確保するだけではなく、介護現場が持つ生活の情報を医療につなぎ、医療から得られた情報を再び日常の介護に活かす、双方向の実効性ある連携としていただきたい
・ACPについても、医療処置の選択だけではなく、本人が何を大切にし、どのように暮らしたいのかを、日常生活の中で継続的に確認していくことが重要であり、新たな書類や形式的な会議を増やすのではなく、介護福祉士等が日常生活の中で把握した本人の意思や価値観を多職種で共有し、実際のケアや看取りに反映するプロセスとして整理していただきたい
・看取りについても、人生の最終段階における対応だけを捉えるのではなく、そこに至るまでの本人の意思を継続的に確認し、多職種で共有しながら、最後まで本人の生活を支えていく介護のプロセスそのものを評価する視点が重要だと考える
〇科学的介護情報システム(LIFE)
・LIFEを活用して科学的介護を推進する方向性は重要であるが、まず、入力・提出に伴う現場負担の軽減を徹底していただきたい。その上で重要なのは、介護のアウトカムを何で捉えるかということである。介護の成果はADLの改善だけではない。認知症の方や看取り期の方などを考えても、状態を維持できたこと、本人が望む生活を継続できたこと、社会参加やQOLが維持されたことなども重要な成果だと考える
・また、LIFEはデータを提出すること自体が目的ではない。フィードバックについても、単なる数値比較にとどまらず、本人の生活歴や意向、生活状況等と組み合わせてアセスメントを深め、個別介護計画や日々のケアの見直しに活用しやすいものとしていただくことを期待する
〇口腔・栄養、一体的取組
・口腔ケアは、食べることや生活の質を支えるとともに、誤嚥性肺炎の予防という観点からも極めて重要である。今回、介護事業所の職員と歯科専門職との連携が論点となっているが、重要なのは、単に「連携すること」を要件とするのではなく、その連携を日常のケアの中でどう機能させるかだと考える。歯科医師や歯科衛生士等による専門的な評価・助言を、介護福祉士等が日常の口腔ケアや食事場面での支援・観察につなげ、そこで把握した変化を専門職に共有し、必要に応じて再評価につなげる。こうした、「専門的な評価・助言―日常のケア・観察―情報共有―再評価」という循環を実現する仕組みを整理していただきたい。その際、専門職の配置状況にかかわらず、外部専門職との連携も含め、専門的な知見が実際の日常ケアに反映されるプロセスを評価する視点も重要だと考える