令和7年11月10日。及川会長が第128回社会保障審議会介護保険部会に出席しました
今回の介護保険部会では、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)などについての意見交換等がおこなわれました。
及川会長は、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築等」のうち、各論点について以下のとおり発言しました。
・「地域の実情に応じたサービス提供体制の維持のための仕組み」については、一定の質を担保するためには、人員配置基準について「規定なし」とするのではなく、一定の基準を設けるべきとの視点から、新たな類型案を設けることには賛成する。ただし、前提となるICT機器の活用や、事業者間連携を後押しする仕組みは欠かせず、この点の整理もお願いしたい。また、サービスの質の担保は極めて重要であり、配慮を行えばよいではなく、確認行為を入れるなどの対応の検討もお願いしたい
・「地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み」については、総論として賛成する。特に、この仕組みを導入した際のサービス提供状況等に与える影響の十分な検証は欠かせないと考えており、関係者の意見を丁寧に伺いながらの検討は是非お願いしたい
また、「地域包括ケアシステムの深化(介護予防・日常生活支援総合事業等)」のうち、各論点については、以下のとおり発言しました。
・「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた取組の推進」については、総合事業の、市町村が中心となって、多様な主体を含めた地域の力を組み合わせる、という視点は重要であり、その取組を推進する方向性は極めて重要である。ただ、その取組を担う人材の高齢化等の状況を踏まえれば、その取組を担う人材をサポートする専門的な知見を有する人材も欠かせない状況が生じていると認識している。他方で、地域には、介護職を退職した介護福祉士等の介護に知見のある人材も少なからず存在しているはずであり、そういった潜在介護福祉士等の活用を推進する仕組みを構築すべきである
・「認知症施策の推進等」については、「論点に対する考え方」に、認知症の人本人の意見を聞くことについて、介護従事者に対する研修の見直し時期をとらえた研修への組み込み、と記載がある。介護福祉士養成教育課程のテキストなど、一部では既に改訂が進んでいると承知しているが、認知症の人だけによらず、いわゆる「身寄りのない高齢者等」の意思決定支援の在り方等については、従前に増してその必要性は高まっているのは確かであり、当該取組を進めるべきである。なお、インフォーマルな支援を進めるにあたっての専門職のかかわりが重要であることは以前にお伝えしたが、たとえば、各地域における住民を対象とした認知症に対する理解を広める取組が考えられるが、そういった取組には、介護福祉の専門職能団体として、ぜひ協力をさせていただきたい
さらに、「地域包括ケアシステムの深化(高齢者向け住まい)」のうち、各論点については、以下のとおり発言しました。
・「有料老人ホームの運営及びサービス提供の在り方等」については、いわゆる「囲い込み」は、利用者の権利や意思決定の制約だけでなく、ケアプランの中立性や客観性の低下などの影響が考えられ、適正な介護保険給付が損なわれる可能性は否定できず、社会保険としての介護保険制度の信頼が揺らぎかねず、適正な運営を担保する仕組みは必要である。事業所に対する過剰な規制は妥当ではないと考えるが、一定の規制は必要であり、人員配置基準や職員研修の枠組み等についても設けるべきである。そのうえで、今回の議論で整理した枠組みの適正さについては、継続的に確認していくことが必要だと考える