• トピックス一覧
  • 令和8年11月6日。今村会長が第274回社会保障審議会介護給付費分科会に出席しました
お知らせ

令和8年11月6日。今村会長が第274回社会保障審議会介護給付費分科会に出席しました

今回の介護給付費分科会では、令和9年度介護報酬改定に向け、横断的事項(人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築、高齢者虐待の防止/介護現場の安全性の確保、リスクマネジメント、災害時等における業務継続の取組の強化等、介護現場におけるハラスメント対策)に係る意見交換が行われました。

今村会長は、各論点について、以下のとおり発言しました。

〇配置基準の弾力化
・介護人材の確保が困難な地域においても、必要な介護サービスを継続して提供できる体制を確保する観点から、配置基準の弾力化を検討する方向性については理解するが、弾力化が単なる人員不足への対応や配置職員の縮小を目的とするものとなり、利用者への影響や現場職員の負担が十分に考慮されないことはあってはならず、「利用者の尊厳」と「介護の質と専門性」「介護職員の処遇と働き続けられる環境」を確保することを基本と考える。特に、施設サービスにおいては、利用者の状態や介護ニーズに応じて、介護福祉士をはじめとする介護職員の専門性を活かした個別ケアが継続できる体制が必要である。
・また、訪問介護のサービス提供責任者については、定型的、補助的な業務を他の職員と分担することはできるが、専門的な判断や責任の所在が曖昧にならないよう、その役割を明確にする必要がある。そもそもサービス提供責任者が担う専門的な役割や責任については、介護報酬上、必ずしも明確に評価されてこなかったこと自体が課題であると考える。今回の業務の柔軟化の議論を契機として、サービス提供責任者の専門性や役割を改めて明確にし、介護報酬上も適切に評価することを求める。
・また、小規模多機能型居宅介護の訪問職員の配置基準についても、訪問の予定がないことと、必要性が生じないことは同じではないと考えられることから、利用者の状態変化に応じた柔軟な対応が損なわれないような体制の確保を前提としていただきたい。
・あわせて、配置基準の弾力化に際しては、利用者の安心と安全のほか、サービスの質、職員の業務負担等への影響を継続的に把握検証する仕組みが必要と考える。

〇特定地域サービスに係る報酬の考え方
・地域の実情を踏まえ、必要な介護サービスを継続して提供できる報酬の在り方を検討することについては賛同するが、報酬上の配慮は、事業者の経営維持にとどまらず、地域で暮らす利用者が必要なサービスを受けられること、そして職員が適切な処遇のもとで働き続けられることにつながるものでなければならないと考える。特に、在宅サービスにおいては、移動する距離や時間、訪問先での調整など、地域特有の負担が事業所の運営や職員の働き方に大きく影響する。こうした実態を適切に評価しなければ、サービス提供の縮小や撤退などにつながりかねないと考える。
・これらのことからも、報酬上の配慮が介護職員の処遇改善や人材確保・定着につながるよう、その効果を検証するとともに、利用者負担の増加によるサービスの利用抑制にも十分な配慮をお願いしたい。

〇通所系サービスへの中山間地域等の加算の見直し
・広範囲にわたる送迎負担等を踏まえ、適切な評価を検討する必要があるが、その際、報酬上の配慮が、必要なサービスの確保と介護職員の処遇改善、人材確保・定着につながるよう、その効果を検証するとともに、利用者負担の増加による利用抑制にも十分配慮いただきたい。

〇高齢者虐待の防止
・高齢者虐待の防止及び身体拘束等の適正化に向け、取組の実効性を高めていく方向性について賛同する。
・日本介護福祉士会は、R6年8月に「介護福祉士としての宣言」を発表し、すべての介護福祉の現場における虐待・身体拘束等の防止・廃止を掲げているが、虐待防止、身体拘束の適正化のためには、委員会の設置や指針の整備、研修の実施といった制度上の措置を整えることだけで実現するものではない。そのためにも、虐待防止や身体拘束等の適正化を介護現場でけん引するリーダーとして、介護福祉士の役割を明確に位置付け、その配置や取組を介護報酬上で適切に評価することを、改めて求める。当会としても、介護福祉士の専門性と倫理観の向上を通じて、虐待防止、身体拘束廃止の実現に向けた取組を引続き推進して参る。

〇介護現場における安全性の確保、リスクマネジメント
・事故情報の収集と分析、結果の現場へのフィードバックを充実させる方向について賛同するが、その際、事故報告は個人の責任追及ではなく、事故の背景や要因を明らかにし、再発防止と介護の質の向上につなげるためのもの、であることが重要である。職員が安心して報告でき、分析結果が具体的な介護実践の改善につながる仕組みとしていただきたい。

〇災害時等における業務継続の取組の強化等
・各論点に対する対応案に賛同するが、そのうえで災害発生直後の初動体制について意見を申し上げる。
・災害発生時には、避難所や福祉施設等において、介護を必要とする高齢者や障害のある方への支援が急務となるが、本年7月に発生した熊本地震においても、DWATによる支援が行われる一方、発災直後から本格的な支援体制が整うまでには、一定の時間を要するという課題があったと考えられる。こうした支援の空白をできる限り生じさせないためには、平時から地域の関係団体が連携し、発災直後から必要な支援につなぐ体制を整えておくことが重要である。その際、介護現場を離れ、地域で暮らしている潜在的な介護福祉士の方々にも、本人の意思に基づき、地域の防災力を支える専門人材として力を発揮していただける仕組みを構築することが考えられる。BCP策定にとどまらず、地域での合同訓練や施設間の相互応援、発災直後の人的支援体制など、実際の災害時に機能する取組を促進し、適切に評価することを求める。

〇介護現場におけるハラスメント対策
・介護現場におけるカスタマーハラスメントへの対応を強化し、介護従事者が安心して働き続けられる環境を整備する方向性について賛同するが、その際、介護従事者の安全確保と、利用者に必要なサービスを継続して提供することの両立が重要である。特に、訪問介護において、職員の安全確保のために複数名による訪問が必要であっても、利用者や家族等の同意が得られない場合がある。安全確保の必要性が認められる場合に、同意が得られないことによって必要な対策が講じられないという課題については、利用者負担の在り方も含め、引き続き検討が必要と考える。
・また、認知症等の疾病・障害特性や環境要因を背景とする言動については、単純にハラスメントとして捉えるのではなく、その背景を専門的にアセスメントし、必要なケアや環境調整につなげることが重要である。
・一方で、その場合であっても介護従事者の安全確保が軽視されてよいものではない。
個々の職員の判断に委ねることなく、施設・事業所として組織的に対応し、必要に応じて関係機関と連携できる仕組みの整備を求める。